2008年7月1日
ルネサス エレクトロニクス株式会社(代表取締役社長兼CEO:鶴丸 哲哉、以下ルネサス)とTTTech Computertechnik AG(メンバー・オブ・ザ・ボード:ゲオルグ・コペッツ(Georg Kopetz)、本社:オーストリア、以下TTTech)は、自動運転向け電子制御ユニット(Electronic Control Unit、以下ECU)の開発プラットフォームに関し協業を開始いたします。
今回協業を行う開発プラットフォームは、ルネサスの車載制御用マイコン「RH850/P1x」と車載情報システム向け高性能SoC「R-Car」に、TTTechのADAS向けソフトウェアプラットフォーム「TTIntegration」を統合したものです。 自動運転は今後ひろく普及することが期待されていますが、その技術は発展途上であり、システムには柔軟性、拡張性が求められております。また自動運転には高度な処理性能だけでなく高い安全性の両立も求められています。TTIntegrationは複数のハードウェアで実現されているソフトウェアコンポーネントの統合を可能とするものであり、制御用マイコン、高性能SoCが搭載された新プラットフォームにおいて高い性能と安全性を実現しながらも将来の拡張も可能とする自動運転システムの開発が可能となります。ハードウェア単位で開発されたソフトウェアコンポーネントの統合も可能となるため、複数のベンダーによる並行開発も可能となります。
自動運転の実現には自車周辺のセンシング技術の高精度化、各種センサーの統合、自動運転のための判断処理、付随する画像センサーの高画素化への対応、システム全体の低消費電力対策、機能安全への対応など、大規模な開発が必要です。これらは複数のサプライヤーによる並行開発やスムーズなシステム統合の実現が求められています。そのためには、それぞれのソフトウェアがCPU、ハードウェアアクセラレータ、ネットワークといったハードウェアのリソースの競合なくシステム統合が実現されることが必要です。ルネサスとTTTechの自動運転向け開発プラットフォームは これらニーズに対応し、自動運転に求められる柔軟性と拡張性を保ちつつ、高い性能と安全性を両立させるもので、車載分野で実績のあるルネサスのマイコンとSoC、TTTechのADAS向けソフトウェアプラットフォームにより可能となります。また、この開発プラットフォームは汎用的な自動車向けオープンシステム「AUTOSAR」上での各種機能安全レベルの実現も可能とします。
ルネサスはこれまで、全世界にむけて高性能かつ低消費電力を実現するソリューションを提供してきました。また、オープンなアプリケーションプログラミングインターフェース(API)と充実した開発ツールにより、タイムリーでコストセンシティブな開発環境を提供しています。機能安全においても最も高い安全性を実現するASIL D(注)に対応したマイコンから高性能SoCも取り揃え、プレミアムな商品からエントリーレベルと幅広い分野でのECU開発に貢献するトータルソリューションの提供を行っています。
一方、TTTechのADASプラットフォームの要はTTIntegrationとDeterministic Ethernetにあります。TTIntegrationは複数のCPUレベルで同期をとり、これらCPUを用いて複数のアプリケーションの実行が可能となります。システム上でデータの共有やアプリケーション毎にハードウェアの開発を行い統合することも可能であり、システム構築の自由度が向上します。各種オペレーティングシステムで稼動するAUTOSARも準備されており、開発済みのアプリケーションの移植もスムーズに行うことができます。また、TTTechはさまざまな安全レベルもサポートしており、TTTechのコンセプトである「Freedom from Interference」は高い安全基準により、仮にひとつのアプリケーションのバグや欠陥が発生しても、他のECUへの影響を防ぐことが可能となっています。これらはTTTechのDeterministic Ethernetにより実現しています。
(注) オートモーティブセーフティレベル(ASIL)はISO26262-Functional safety for Road Vehicles standardによって、A、B、C、Dとランクで規定されており、ASIL Dはその最も高い機能安全要求です。
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